皆さん、こんにちは。そらこうです。
2022年6月現在、個人投資家に人気の株主優待を廃止する動きが広がっていることをご存じでしょうか。
最近では、人気の優待銘柄であるオリックスのカタログギフトや日本たばこ産業(JT)の食品詰め合わせが廃止されて話題になりました。
もともと、日本の上場企業では長期保有をしてくれる個人株主を増やそうとこれまで商品選びにも工夫を凝らしていましたが、恩恵を受けられない海外投資家から「不平等だ」と不満の声が上がっていました。
実際に、オリックスはこの優待を始める前の14年3月末時点で個人株主数が約5万人でしたが、今年3月末に約82万人に膨らんでいました。
優待廃止によって、今後は配当などで利益を還元する方針を示しています。
優待廃止が広がる背景としては、東証再編による「必要株主数の減少」と「海外投資家への配慮」の2つが考えられるでしょう。
上場に必要な株主数の減少
これまでの東証一部上場に必要な株主数は2,200人でした。
しかし2022年の東証再編によって東証プライム上場基準が800人と大幅な変更となりました。
よって、企業としては従来ほど大勢の株主を確保する必要がなくなったため、優待品発送などの事務負担を減らしたいという思惑があるのでしょう。
また近年、機関投資家からの増配希望が増えていたため、個人投資家が軽視されたのかもしれません。
海外投資家への配慮
株式優待は、日本国内にしか発送されず、海外では受け取りできません。
ですので海外の個人投資家に日本企業は、「株主優待は不平等であり、配当に回してほしい」と思われているのです。
昨今の株式市場の動きについて
市場の動きで株主優待投資家が注目したいことは、株主優待廃止企業の推移です。
直近3年間のデータだと2020年に50社、2021年に47社、そして2022年は5月20日時点で29社も株主優待を廃止しています。
このペースだと2022年中に70社となり過去2年に比べて1.4倍も株主優待廃止企業が多くなってしまう計算です。
株主優待を廃止する理由で最も多いものが、配当による公平な利益還元です。
しかし、株主優待が廃止されてすぐに大幅な増配がされた企業は少ないと感じます。
優待目的の個人投資家が注意すべきこと
株主優待が目的の個人投資家が最も注意すべきことは当然、株主優待の廃止です。
現在は株主優待廃止企業の増加を受けて便乗廃止する企業が出やすい状況になっているかと思います。
また、ニュースなどでもよく報じられていますが、最近は多くの企業が原材料の値上がりによる利益の圧迫に苦しんでいます。
業績が悪化すると当然企業は経費削減に積極的になります。
そんな中、先ほど挙げた理由によって株主優待に批判的な意見が集まると企業としては廃止もしくは改悪にしたくなりますよね。
となると、この流れは今後も続くのではないでしょうか。
個人投資家がとるべき行動は?
まずは保有銘柄のうち、株主優待を廃止・改悪する可能性が高い企業かどうかを考え、リスクを取って保有を続けるかのか今のうちに売却するのかを判断しましょう。
もし売却するのであれば、今後も増配が期待できる高配当銘柄へと銘柄の入れ替える事もおすすめです。
なぜなら個人投資家軽視とは機関投資家を重視することだからです。
ですので機関投資家が好みそうな長期保有ができる銘柄を多めに保有して時流に乗るのが今の環境には合っている可能性が高いでしょう。
株主優待は個人投資家には嬉しい制度ですが、長い目で見れば優待も廃止が進み、投資家への還元は配当に移っていくと予想すれば自身の資産のうち株主優待を目的として買った銘柄は減らした方がよいのかもしれませんね。