東京証券取引所でシステム障害!?投資家への影響は??

東京証券取引所でシステム障害!?投資家への影響は??

東京証券取引所は2020年10月1日午前に相場情報の配信に障害が発生したと発表し、終日売買が停止するといった事態となりました。

翌日には通常通りに取引が再開されましたが、今回金融市場で起きた影響は大きなものです。

東証では1日に約3兆円の取引が行われており、この売買機会が失われたことになります。

金融庁はこれまでに東証に対して2005年と2012年にシステム障害が原因で業務改善命令を出しています。

しかし、東証で全銘柄の売買が終日止まるのは取引が全面的にシステム化された1995年5月以降で初めてのことで異例の事態です。

同じシステムを使用している国内の取引所(札幌、名古屋、福岡)の各証券取引所でも同様に全ての株式取引ができず、日本の市場インフラ機能が終日停止といった事態に発展してしまいました。

日本の金融市場の信頼が失われる可能性もあり、金融庁は東証の処分も検討することになるでしょう。

システム障害発生日の時系列

7:04 売買システムのディスク装置の故障を検知

8:01 機器トラブルによるシステム障害を東証が把握

8:36 内部関係者に対して売買停止を通知

8:54 ネットワーク遮断(国内4ヶ所の取引所で売買停止)

11:45 終日全銘柄の売買停止発表

16:30 システム障害に関する記者会見

19:25 翌日(10月2日)から売買の再開を発表

システム障害の原因

終日の売買停止は先進国としては異常で、世界的にはシステム障害が発生したとしても当日中に取引が再開されることがほとんどです。

システム障害が発生したうえに、なぜ当日中に再開できなかったのでしょうか。

東証のシステムは富士通が設計・開発しているものです。

今回のシステム障害について、東証は同日、機器に障害が発生しバックアップへの切り替えも正常に行われなかったことが原因と発表しています。

東証によると、原因はハードウエア機器の故障で、サイバー攻撃をうかがわせる兆候は無かったそうです。

また、終日の売買停止にした理由については「内外の市場参加者とも協議したところ今日再開したところ顧客対応や円滑な売買は難しいという要請もあり、終日、売買停止をすることとした」と述べています。

投資家への影響

全銘柄の株式取引停止のほか、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)などの取引も止まってしまい、約3兆円規模の売買機会が失われてしまいました。

また、運用商品を売却して現金化しようとした投資家の方は当日売却ができずに現金を手に入れるのが1日遅れてしまう結果となりました。

今後の対応策

日本では米国などの取引所と異なって現物株の取引所取引の約9割を東証が担っています。

そのため、東証での取引が止まると市場が事実上ストップしてしまうことになります。

今回の件について宮原社長は「日銀短観という大事な統計が発表された中で終日の停止となり、大変ご迷惑をおかけした。また政府が国際金融センター構想を検討している中で、資本市場の大事なインフラである取引所で終日の取引停止という事態を起こしてしまったことに対し、大変申し訳なく思っている」と述べ、重ねて謝罪しています。

金融庁は装置の点検が不十分だったのかや内部管理体制についても報告を求めています。

今回の件で東証に集中した取引のリスクが再認識されたため、丁寧な説明と今後の改善が求められるでしょう。

その後

日本取引所グループ(JPX)は11月30日に東京証券取引所の宮原幸一郎社長が同日付で辞任、経営幹部も月額報酬の減額をすると発表しました。

また、金融庁も同日にJPXと東証に対して業務改善命令を出して再発防止の徹底を命じています。

具体的にはシステムの総点検や、取引再開ルールの整備などですね。

これらの取り組み状況についても、定期的な報告を義務化しましたので今後は終日の取引停止といった事態にはならないことを信じましょう。