今年もラニーニャ現象が発生、経済への影響はあるのか?

(CNN)米海洋大気局(NOAA)は2021年10月14日、太平洋の熱帯地域でこの1カ月の間にラニーニャ現象が発生したと発表しました。

NOAAは14日に発表したラニーニャ注意報の中で、「ラニーニャは今後数カ月の間、米全土の気温や降雨量に影響を及ぼすことが予想される」と指摘しており、ラニーニャは90%近い確率で、2021~22年の冬を通して続くと予想しているそうです。

2年連続の発生となるラニーニャ現象について、今回はこの現象が経済に与える影響を考えてみましょう。

ラニーニャ現象とは?

ラニーニャ現象とは、熱帯太平洋の西部で海面水温が平年より高く、東部で海面水温が低くなり、その状態が長期間続く現象のことです。

この現象は、地球全体に及び、世界各地に異常気象を引き起こす傾向があります。

ラニーニャ現象が日本の気候に与える影響とは

ラニーニャ現象は赤道に近い海洋で発生する現象ですが、日本にも影響を与えます。

では、ラニーニャ現象の発生により日本の気候はどのように変化するのでしょうか?

まず、南米ペルー沖の海面水温が下がるのとは対照的にフィリピン近海の海面水温が上昇します。

すると水蒸気が増えて雲が多く発生し、日本では雨の日が多い秋となります。

さらに冬にはシベリアからの冷たい空気が流れ込みやすく、気温が下がることで寒冬となる傾向があります。

また、日本付近で夏季に太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなるため猛暑になりやすくなります。

ラニーニャ現象と経済の関係は?

気象の変動は人々の生活に直接影響を与えるものですので、ラニーニャ現象も経済や株価の動きに関係がないわけではありません。

ラニーニャ現象と景気の関係については様々な研究がされており、ラニーニャ現象の発生期間は景気回復局面に重なっていると言われることもあります。

異常気象というとマイナスの影響しかないというイメージがあるかもしれませんが、それだけとも限りません。

確かにラニーニャ現象は、南米では雨が少なくなる恐れがある一方で、インドネシアでは洪水が増加する可能性があり、南米産穀物やインドネシア産パーム油などの市場にも大きな影響が及ぶことになります。

また、ラニーニャ現象の発生時には米国の太平洋岸北西部と北部平原を寒気や嵐が襲うことが多くなる傾向があり、地域のエネルギー市場もひっ迫する可能性があります。

では、プラスの影響は何でしょうか?

ラニーニャ現象は日本に寒冬猛暑をもたらします。

冬が寒くなれば、エアコンなどの暖房器具の売り上げが好調になります。

さらに、冬物の衣料の売れ行きも良くなるでしょう。

また、夏の時期が猛暑となれば同じようにエアコンの売り上げが好調になりますし、身近ではビールや清涼飲料水の売り上げも良くなる可能性が高いです。

そういった季節モノを扱う小売店などの販売が好調となって、経済全体を押し上げる効果があるとも考えられているのです。

「夏は暑く、冬は寒い」という方が季節に関連した人々の消費が高まるため、景気を押し上げる効果につながるというわけですね。

このためラニーニャ現象は好景気と関係があるともと言われることがあります。

特に日本の暖房器具メーカーや石油メーカーなどからすると、ラニーニャ現象は良いのかもしれませんね。